16S rRNA遺伝子による微生物の解析が最近(でもないかもしれないけど)けっこう流行です。
今日はそのことについて少し書きます。
自分が思う流行になった要因として、
1. 次世代シーケンスの登場によりデータ取得にかかる時間とコストが(主にサンガーシーケンスと比較して)大幅に減った(いまも減り続けている)こと
2. PCの性能向上、クラウドサービスの発展にともなってNGSで取得するような大きなデータセットであっても解析が比較的容易にできるようになったこと
3. 腸内細菌ブームがきていて腸内細菌(ヒト、マウスその他)を解析したいという研究者が増えてきたこと
パッと思いつく要因というとこの辺りがあげられると思います。
腸内細菌のことをあげましたが、その他たとえば口腔、皮膚、水、土壌、その他環境資料なんでもに対して適用可能なのでそういう意味でも流行になっていると思います。
さて1番目にあげた次世代シーケンスのデータ取得ですが、これは本当に安くなったと思います。なにも次世代シーケンスの機械を買う必要はなくて、ちょっと検索すれば、受託してくれる企業はいくらでもあります。
頼む企業にもよるでしょうが、1サンプルで 〜数万円というところでしょうか。(コストの話についてはまた今度書きます)
例えば薬剤処理群とコントロール群のN = 3 、6サンプルで腸内細菌調べるとかなら30万円くらいでしょう。
2番目にあげた解析についてはここが問題になることが多いかなと思います。
もしどこかの受託企業にシーケンスを依頼していたとしたら、いくらか追加料金を払えばデータ解析を(基本的なものについて)やってくれるでしょう。
ただ本当に基本的なものに限っての話と思いますし、解析結果についてパラメーター変えて…やらデータベースを変えて…とかとなると難しいです。(対応してくれるところもあるかもしれませんが)
やはり発展的な解析となると自分自身で解析環境を整えた方がなにかと便利なことが多いです。
16S rRNA解析はけっこう昔から行われているものなので、解析ツールは豊富に揃っています。
いろいろツールはありますが、QIIMEが一通りのことができるので便利だと思っています。
QIIME: Quantitative
Insights Into Microbial Ecology.
http://qiime.org/
QIIME のインストールは Macであれば比較的簡単に導入できますし、大きなデータセットでなければMacbook Airレベルでも動きます(たぶん)
インストールの方法や解析のやり方については追々記事を書いていきます。
3番目の腸内細菌ブームについては実際のところどうでしょうか。
たしかにブームではありますが、見ていると
腸のなかで細菌の影響が全身、脳の状態にまで影響するの?
と思うわけです。
理由はぼんやりとあるんですが、
かつてのヒトゲノムに対する期待、いまなら人工知能に対する期待と同じようにならないか?と思っています。
すごく期待値が大きくなったけど、思ったほどの成果がでなくて、、、みたいな
社会に対する還元としての成果がどうなるかは不明ですが、研究そのものが盛り上がることはいいことじゃないかなと思ってます。
蛇足になりますけど、いつまで「次世代」シーケンスと呼ばれるのでしょうね?
最初の次世代シーケンスといえば 454シーケンサーですが、登場が2005年です(もう10年以上経つんですね)
ほかのタイプのシーケンサーがいくつも出ていて、もとになっているテクノロジーも多岐にわたっているのに、ずっとNext Generation Sequencer (Sequencing)のまんま。
NGS現場の会の人たちは別の名称を考案していたりするのでしょうか。
たまに論文とかだと、(Ultra)
Highthroughput Sequencer とかMassive
Parallel Sequencerとかの名称を使っていたりしますけど。
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